おかげさまでほっとまむコラムも50回を迎えました。
毎月1回の更新で、50ヶ月=4年2ヶ月!この長さに、今はただ、感激しています。

そこで50回目の記念として、私の子育てを振り返ろうと思います。
子ども3人と最後に私の想いを書かせていただき、4回連載にします。
これから4ヶ月、ゆっくり読んでいただければうれしいです。
                               森本 光由希


vol.53 子どもと一緒に育ってきましたC 母である一人の大人として
 


赤ちゃんを授かったとわかったとき、私は「母になった!」と思いました。
「母」は自分の母のイメージ。おばちゃんで、いつも家にいて、ともかく「子ども第一」。
そんな親に一足飛びになれる、はずがありません。今では目指す母像も変わってきて笑い話
ですが、当時はまったくわかっていませんでした。

「子育て」だと思っていました。自分が、親が、子どもを育ててあげるものだと。
大人の助けなしに赤ん坊は生きていけませんから、生後間もない頃はそうなのでしょう。
でも、育てられたのはきっと私たち大人の方です。子どもたちは、自分のプログラムを持って
この世に誕生し、親はスイッチを入れるだけ。プログラムは勝手に作動します。
それを見て喜んだり心配したり笑ったり泣いたりしながら、私たちは親になっていくのです。

こんな達観めいたことを考えるようになったのは、最近のことです。
今までも書いたように、私はかなり悩みながら子どもを育ててきました。子育てを十分に楽しむ
ことができなかったと思います。いい母親にならなきゃ、という呪縛が強かったのかもしれません。

3人目の妊娠を知ったときには悲しかったけど、3人産んでよかったと、今しみじみ思います。
2人っ子の育児に行き詰っていた私は「私のせいでこの子は泣くんだ」、「私のやり方が悪いから、
うちの子はこうなんだ」と、自分を責め、自分を変えなきゃと思っていました。とはいえ、
いらいらや腹立ちは抑えることができない。なにも変えられない毎日、悪循環でした。ですが、
3人目に全くちがう性格が出てきて、長女と次女も、どんどん違いが見えてきました。
そしてやっと気付いたのです。
「今まで私のせいだと思っていたけれど、どうも、親の影響力なんて大したことはないのかも。
きっと生まれ持っての性格があるんだ」
こう気づいた時、どれほど楽になったことか。

親には、それほど大きな力はないのかもしれません。
子どもには自分の意思があるし、自分で選択していく。
親はその選択を見守るのみ。自分の想いを押し付けないように注意しないと。

「私が子どもの頃にはピアノを習わせてもらえなかった。だからこの子には・・・」
「私は泳げなくて恥ずかしい思いをした。だからうちの子には・・・」
それは押し付けです。
あなたができなくて悲しい思いをしたのなら、あなた自身がそれを取り返さなきゃ!
ピアノを習いたかったなら今から習えばいいし、スイミングだってあなたがやりなさい。

大人はまず、自分の人生を生きる責任があると思います。
もちろん子どもや家族をないがしろにするのではありません。そのバランスが難しいのですが、
子どものことばかりに執着するのではなく、自分の人生をよりよく生きる!
そのための努力を、大人が始めましょう。

子どもは「大人の言うことは聞かないけれど、大人のやることはマネをする」ものです。
大人が努力する姿を見せないと、口でいくら言っても、子どもは努力しません。
だって、努力ってものを見たことがないと、マネできないからです。
「こうなってほしい」理想の姿があるのなら、まず、大人がその理想の姿を、理想に向かう過程を
自分の体で示せばいいのです。

ええ、大人ってきびしいですね。
でも、大人たち、がんばりましょう!!

子どもが生まれても生まれなくても、人生の目標を変えず持ち続ける人もいるでしょう。
子どもが小さくても目標に向かっていける人もいるでしょう。
子育てが一段落してからじゃないと自分のことを考えられない人もいるでしょう。
遅い早いは問題ではありません。

まずは、子どもにあなたの夢を話すことから始めてみませんか。
お母さんがキラキラした目で「こうなりたいんだ」って話すのを聞いた子どもは、
きっと夢の素晴らしさを学ぶでしょう。そして、応援してくれるようになります。

私はもがきながらもなんとか夢を形にし、それを仕事にできました。
いちばん大変だったのは、夢を形にするまで。何を目指すかが定まるまで。
専業主婦時代の12年間は、ずっと探していたように思います。
でも、夢が思い描けるようになってからは、あっという間。
本当に、見つかってからは予想外にカンタンでした。それにすごく楽しかった。
子どもたちもがんばる母を見守ってくれました。

親は、偉い人でも完璧な人間でもありません。間違うし、八あたりもするし、理不尽なことも言います。
でも子どもたちがいろんなことをしでかし、心配したり喜んだり怒ったり笑ったりするうちに、
そして、親自身が自分の人生を精一杯生きるうちに、少しずつ大人に近づいて行くのだと思います。 

私は今、親15歳。あと5年で成人できるかな・・・やっと「大人」が見えてきました。


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